イタリアへの大学留学を検討しはじめたあなたに、考えた方がよいポイントをお伝えしようと思います。実際に、留学をすると言っても、色々な種類があるので、違いを分かっていないと、何が可能で、何が必要なのかが、分からず困ってしまうことが多いのです。
イタリアで大学に行くにはどんな方法がある?あなたにあった留学方法は?
チェックポイント①何語で授業を受けるか?
イタリアの大学への留学を検討する際にまず考えるべきポイントは、『何語で大学の授業を受けるか』ということです。イタリアの公用語はもちろんイタリア語。大学の授業も基本的にはイタリア語で行われますが、主に留学生を対象に英語で授業を行なっているところも少なくありません。ただし、言語を英語に限定すると、学校/学べる分野が限られてくることは意識しておきましょう。また、一般的には学部(イタリアではLaurea Triennaleと言います)よりも、大学院(Magistrale)の方が、英語で授業を行なっていることが多いです。以下、各言語でのメリット/デメリットをまとめます。
<イタリア語の場合> メリット:通える学校/学べる分野に制限がない。選択肢が多くなる。
デメリット:授業についていくのが非常に大変。
<英語の場合> メリット:イタリア語レベルに関わらず、イタリアの大学で学ぶことができる。言語習得よりも授業の中身に集中できる。
デメリット:通える学校/学べる分野が限られる。イタリア人との交流が少なくなる。
また、どちらの言語で大学に通う場合でも、イタリアにおいて、英語のみで日常生活を過ごすことは困難です。観光地以外では、お店などでもあまり英語は通じないので、英語で大学の授業を受ける場合でも、挨拶や簡単な日常会話程度は勉強するようにしましょう。
チェックポイント②語学力はどれくらいか?
チェックポイント①で、何の言語で大学の授業を受けるか、について考えていただきました。そこで、「イタリア語で授業を受ける」ことにした、と仮定します。 この場合、次に重要なのが、「イタリア語力はどれくらいか」ということです。一般的に、交換留学などの場合に、大学で留学できる目安となる語学力は、『ヨーロッパ言語共通参照枠(CFER)』と呼ばれるヨーロッパ共通の言語レベルスタンダードで、B2以上、とされています。これは、日本でなじみのある「イタリア語検定」に換算すると、準2級以上になります。また、イタリアの大学の授業は日本に比べ非常にレベルが高いので、B2の語学力があってもなかなかついていくのは大変です。(参考までに、自分が留学した時はB2以上のレベルでしたが、それでも授業は苦労しました)まだ語学力がこのレベルに達していない場合は、まずは語学学校に通い、それから大学を目指す、という方法があります。語学学校は、基本的に授業料(1ヶ月で7〜12万円ほどと、他国に比べるとそれほど高くありません)を払えば通うことができ、学生ビザで滞在することができるので、語学力に不安がある方はまず語学学校を検討するのもよいでしょう。
チェックポイント③今、高校生?大学生?社会人?
最後に、どのタイミングで留学を考えているかによっても、適した留学方法は変わってきます。まず、一番留学しやすい方法が、「交換留学」です。交換留学とは、日本の大学とイタリアの大学が提携しており、提携先の大学に一定の期間(一般的には、1学期間あるいは1年間)通うことができるシステムです。メリットとしては、大学を通して留学をするため、ビザなどの煩雑な手続のサポートを受けることができること、大学の先生や先に留学した先輩などから情報を得られること、場合によっては奨学金などのシステムが大学内にあること、などがあります。逆に、デメリットとしては、提携先の大学だけに選択肢が限られることがあります。また、イタリアは英語圏ほどメジャーな留学先でないので、大学によっては提携校がない可能性もあります。もし、現在高校生で、将来的にイタリアに留学したいと考えている方は、留学先提携校があるかどうかを調べて進路を考えるのも、ひとつの方法でしょう。また、現在大学生で、自分の通う大学にイタリアの提携校がある場合は、交換留学を利用するのはとても良い選択肢だと思います。
現在日本の大学に通っているけれど、自分の大学には提携校がない…あるいは、今社会人だけど、イタリアの大学に留学したい!という方にもっともおすすめなのは、単科コース(Corsi Singoli)というスタイルです。これは、日本の大学で言ういわゆる聴講にあたり、学位取得はできませんが、自分が好きな授業を選んで受講ができる、というものです。 単位数や大学によりますが、1授業・1学期ごとに100〜400ユーロと、比較的費用がかからないのも非常に魅力的です。
イタリアの大学の授業、評価制度、テストはどのようなものか?
日本と全然違う!イタリアの授業と試験のスタイル
授業のスタイルは、分野や大学によりますが、基本的に「大人数の講義型」というものが多いです。私が通っていたローマ大学サピエンツァでは、特に学部生向けの授業は生徒が多く、教室に入りきれない…ということもありました。指定された教科書、あるいは、配布される資料などを元に、教授が講義を行います。学部生向けの授業では、毎授業に課題が出さされるということもなく、学期終わりの試験で全ての成績が決まります。また、日本のように1週間に1コマではなく、1週間に2あるいは3コマ授業があり、かつ1コマは1時間半あるいは2時間です。(長くて非常に疲れました!)
試験について、大学に限らず、イタリアと日本で非常に異なっていることは、試験が筆記ではなく口述だということです!小学校から大学まで、筆記試験というものはほとんどありません。大学では、1年に3回ほど、試験の時期というものがあり、各講義に対して2・3日、試験の日程が設定されます。学生は、自分が受けたい日程の試験に登録し、その日になったら試験の会場に行って、試験を受けます。 試験は教授1人と学生1人もしくは複数人で行われ、その場で質問された事柄に、その場で答えなければいけません。私は文章を書くよりもずっと緊張する経験でした!試験結果は30点満点で採点され、その場で結果が伝えられる仕組みです。18点以上が合格で、それ以下は不合格となります。また、点数に不満がある(もっと高い点数を取りたい)場合は、試験を受け直すこともできます。
面白いのは、必ず講義がある学期に試験を受ける必要はなく、次の学期や次の年に受けても良い、ということです。 特に試験については、日本の大学とは全く違うので、面白いですね!
イタリアの大学に行くにはどれくらい費用がかかる?無料の大学は?
大学留学費用①交換留学
日本の大学から、交換留学でイタリアの大学に通う場合、学費は基本的に日本の大学に納めることになります。ですので、私の場合は、1年間で約50万円(日本の国立大学の学費)が留学費用となりました。学費だけで考えると、単科コースや語学留学の方が安いですが、大学の就学年数に留学期間が含まれることや、場合によっては単位の交換なども行えること、自分の大学からのサポートや奨学金を受けられることなどを考えるとメリットも大きいです。
大学留学費用②単科コース
単科コースでは、単位数や大学にもよりますが、1科目100〜400ユーロと比較的安い費用で受講することができます。また、登録していない授業でも聴講するだけ、ということは可能です。(その場合、教授に一言断りを入れましょう)
他に知っておくべき日本との違いは?
大学に留学する場合、「大学生活」の位置付けが日本とは非常に異なっていることを覚えておくといいでしょう。日本の場合、大学は授業を受けるだけでなく、たくさんの部活やサークルがあったり、アルバイトをする機会があったりして、授業以外で友達を作ったりする機会がありますよね。イタリアの大学にはサークルはありません。アルバイトの文化もありません。(イタリア人でも、かなり運の良い人だけがアルバイトをしています) ですので自分自身、留学中は、特にイタリア人の友人を作るのに非常に苦労しました。大学だけでなく、日本文化や日本語関係のイベントやクラブを探したり、趣味で何かのスクールに通ったり(私の友人はローマで空手をしていました!)することで、友人の輪を広げることができるので、そういった機会もぜひ探してみてくださいね。
イタリアでの大学留学に掛かった主な費用・幾らぐらいの貯金があれば良いか。
学校などにかかる費用は前述の通りです。 それ以外にかかった費用は、大まかに
家賃:月450ユーロ(イタリアではシェアハウスが一般的で、シングルルームで500ユーロ前後が目安です)
食費:月200ユーロ(スーパーなどの食材は日本よりもずっと安いので、自炊をすれば安くすませることができます)
に加えて、日用品などの雑費と、旅行などの娯楽費です。基本的な生活は、月1000ユーロほどみておけば良いと思います。これに加えて、学費と旅行費などを加えた額を予算とすれば良いでしょう。気をつけていただきたいのが、イタリアにはアルバイト文化はない上、仕事を見つけるのは非常に大変だということです。「現地に行ってから稼ぐ」ことをあてにすることはオススメできません。最低限の資金は用意した上で、計画的に留学を進められると良いですね。
なお、イタリアでは留学生が沢山いるので、学生向けの物件が決まるのがとても早いです。3ヶ月前には探す必要があります。
条件の良い物件を早く押さえることで節約が可能になります。
イタリアでの大学留学をするにあたり注意すべきこと
渡航前に想定していたことと異なっていた点
「日本との違い」でも述べましたが、日本とイタリアの大学生活は本当に異なっています。最も想定と異なっていたのは、やはり、大学で友人を作るのが本当に難しかったことです。早くから大学の外でのコミュニティを探すことをオススメします!
住居を探すタイミング、業者を通して探すメリット
イタリアの大学には寮などの用意がないことが多いので、自分で探すことになります。日本からインターネットを通じてあらかじめ契約しておくというのは、渡航後すぐに入居できるので安心です。また、日本人や外国人に慣れている大家さんだと英語でもやりとりができるので、そういう意味でも日本人向けの業者を通すのはとてもメリットがあります。
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